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米・キューバ正常化交渉 [国外]

 オバマ米大統領がキューバと外交関係の正常化交渉を開始すると発表した。正常化が実現するならば1961年の両国断交以来五十数年ぶりとなる。このことは米外交の歴史的転換であると言えるだろう。先進諸国での米国への信頼回復につながるだけでなく、中東・東アジアでの緊張緩和に向けて大きな貢献が期待できると考えてよいであろう。
 他方、キューバ政権を敵視する野党共和党は年明け以後米会議の多数を握るのが現状だ。外交交渉の行方は楽観視できないのも事実である。
 オバマ大統領の演説などによると年明け後の正常化交渉開始、数ヵ月以内の在ハバナ米大使館開設に加え、米側は渡航制限・経済制裁の緩和、「テロ支援国家」の指定解除などを検討する予定である。
 キューバのラウル・カストロ国家評議会議長もほぼ同時に演説し関係改善に意欲を示した。両首脳は演説の前に電話会談を行ったようである。オバマ氏は昨年末、カストロ議長とマンデラ元南アフリカ大統領の追悼式会場で握手して注目を集めたが、それ以前から関係改善の必要性を公言していたのも事実である。 
 11月の中間選挙では予想外に与党民主党が大敗しオバマ大統領は内政での主導権を失った。大統領の裁量の余地がかなり大きい外交で局面を打開しオバマ政権として業績を残すことを狙ったとの見方もできるだろう。同時に、政治的発言力を増すキューバ系米人の支持を得られるならば2年後の大統領選への影響力回復も可能だとの打算も感じられる面があるのも否定できないだろう。
 改革路線をとるキューバにおいても貿易再開や投資受け入れで長期間低迷する経済にてこ入れしたいとの声が表面化していたのも事実である。
 中南米出身として初めてローマ法王となったフランシスコ法王が今回仲介に当たったことも進展の背景にあると考えてよいであろう。
 米国は19世紀末にスペインとの戦争に勝利して以来キューバを保護領化してカリブ海・中米諸国を自らの「裏庭」として扱ってきた経緯がある。キューバ革命政権が米資産を前面接収したことから米は国交断絶に続き全面禁輸を発動した。62年には米ソを全面核戦争の瀬戸際にまで追い込んだキューバ危機が起き地域の反米感情が更に高った経緯もあることは見過ごすことはできない。
 米がキューバと和解すれば、ベネズエラ・ボリビアなど地域の強硬な反米政権との関係改善も期待でき中南米は一層の緊張緩和に向かう好循環に入ると見ることもできる。
 世界的視野からも両国の雪解けは70年代の米中和解と並ぶ外交上の意義を持って冷戦後の遺症解消につながると期待できる。長年孤立を続けてきたイラン・北朝鮮・和平が行き詰っているパレスチナ問題への影響も大きいだろう。 
 大統領は「キューバ孤立政策は効果がなかった」と認めたことは大きな進展である。米はベトナム・イラクで軍事力を背景に無理な民主を図り世界に大きな混乱をもたらした。今後、自らの失敗を直視する「政治的勇気」を持って世界の平和と安定に貢献するべきだと考える。




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