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春闘スタート [春闘]

 経団連は、賃金を底上げするというベースアップ(ベア)を「選択肢の一つ」と明示した今年の春闘指針をまとめたばかりである。労働組合を代表する連合はこれに先立って、2%以上のベアを要求するという闘争方針を決定していて2015年春闘が事実上スタートしたである。
 円安をはじめ米国の景気回復や法人税減税などで利益が増える状況にある企業がある一方によって、円安が逆にコスト増となっている会社もあり交渉の経営環境にはばらつきがあるというのが現状である。
 しかし肝心なことは、しっかりと利益が出ている企業がそれを従業員と分かち合って賃金として還元することにあるのは言うまでもない。最近の潮流で株主への還元ばかりが重視されがちだけれども、社会の一員である従業員の懐を潤すということは、回り回って企業自身のためになることをこの機会に再認識してほしいと思う。
 この点において、「経営側の大局観の欠如」を強く感じざるを得なかったのが、昨年の春闘であったのである。
 円安の追い風の中、安倍晋三首相が政労使会議で賃上げを迫るという異例の「官製春闘」となったけれども、何よりも注目点は4月からの消費税増税を織り込んだ上での賃上げ水準にあったというのが事実である。
 8%へ17年ぶりに消費税を引き上げることが既に決まっていて、4月からほとんどの物やサービスの価値が増税の3%分上がるのが分かっていたということである。円安による輸入原材料の値上げも重なり、それなりの賃上げがなければ、4月以降の物価上昇に追いつかないことは自明だった訳である。
 だが結果はどうであろうか。連合によると賃上げ率は15年ぶりの高水準でありながら、平均2.07%にとどまったのである。このうち1.5%程度はいわゆる定期昇給分であり、ベアに相当する分はわずか0.5%程度にすぎなかったのである。
 そこから先の4月以降に日本経済において、とりわけ個人消費の現場に何が起きたかをあらためて記す必要はないであろう。実質賃金が減り続けたため2四半期連続のマイナス成長に陥って、社会保障財源のため不可欠とされた消費税10%への再増税が延期されたのであることは記憶に新しい。
 交渉の中心は賃上げにあるとしても、春闘は「働くこと」にまつわる幅広い課題を労使が膝詰めで話せる格好の機会ということが言える。その中心で、とりわけ早急な改善を望みたいのが非正規雇用の問題である。
 パートや契約社員など非正規で働く人はいまや2千万人と言われている。雇用者の4割近くに達していながら、その処遇は遅々として進んでいないのが現状である。
 非正規拡大の背景にはライフスタイルに合わせた働き方の広がりがあると思われる。しかしやはり大きいのは、企業が人件費削減のため正社員のかわりに非正規を積極的に増やしてきた点は見逃すことは出来ない。
 非正規の賃金底上げや正社員化は一面コスト増かもしれないが、国内の消費力強化につながることは事実である。春闘交渉では、ぜひこのような大きな視点を忘れないでもらいたいと願って止まない。





タグ:春闘
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