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大学入試改革 [大学入試改革]

 中教審が文部科学相に大学入試制度改革を答申した。現在の大学入試センター試験に代わる二つの新テストを導入して,大学ごとに行う個別選抜入試も面接、討論などを中心にするとの内容である。知識偏重の入試から、多面的に受験生を評価する入試へ抜本的に改革するという狙いである。
 答申によると、5~6年後の実施を目指している。今の小学6年生が大学受験を迎えるころの話である。1990年の大学入試センター試験の導入後初の改革となる。
 小・中・高での学ぶ内容を定めている学習指導要領は、2020~22年度後の全面改定に向けて既に中教審の議論が始まっていて大学入試改革も同時並行で進んでいる。教育内容と入試がワンセットで変わり子供たちに及ぼす影響は非常に大きいと言える。
 
 ここで答申のポイント三つを見てみる。
 
 第一、高校での学習効果を把握する「高校基礎学力テスト」を新たに作る。高校で身に付ける「知識と技能」を測るもので、高校2・3年の時に年2回程度受験できるようにする。ここでの成績が進学や就職のときの基礎学力の証明となる。
 
 第二、知識偏重の現在のセンター試験を廃止して、知識に加えて受験生の「思考力・判断力・表現力」を中心に評価する「大学入試希望者学力評価テスト」を導入する。その内容は従来の「教科型」に加えて教科・科目の枠を超えた「合教科・科目型」「総合型」の問題を組み合わせるというものだ。選択式の問題だけではなく記述式も導入するというものである。年数回行われ受験生に対して挑戦の機会を与え成績は段階表示で大学や受験生に提供される。
 第三、各大学は大学ごとに行われる個別選抜において、大学の特色・受験生に求める能力や評価の基準を「アドミッション・ポリシー」(入学者受け入れ方針)の中で事前に明確にする。知識偏重のペーパーテストには頼らず、評価テストの成績に加えて、小論文・面接・集団討論・資格・検定試験の成績などを使って「人が人を選ぶ」入試を目指すとのことだ。
 
 しかし理想の反面、課題も多い。基礎学力テストは希望すれば高校2年生から受験できる。このことから高校生が「試験漬け」にならないだろうか。
 
 大学センター試験に代わる評価テストが重視する「思考力」・「判断力」・「表現力」の育成は、現在の学習指導要領に盛り込まれているが、実際に学校の現場に十二分に浸透したとは言い難い。日本の経済格差がに広がる中で、受験勉強が前倒しされて新たな受験スキルを求めて塾・予備校通いが増加するのではないか。それでは改革の名に値しない。
 
 制度変更の影響は今の小学生以下たちの世代に及んでくる。拙速は許されない。子供たちの笑顔を想像しながらいろいろと幅広く議論していくべきだ。



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