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五輪会場変更 [東京五輪]

 2020年東京五輪・パラリンピックを開催する東京都の舛添要一知事は支出を抑えるために「バスケットボール・バドミントンなどの競技会場を新設せずに既存の施設を利用する」開催計画の見直しを表明していることは見過ごすことはできない。
 一方、大会組織委員会の森喜朗会長は全国的な大会盛り上げのためとして「球技の1次リーグを地方都市で実施する」意向を示している。こうした計画の見直しは国際オリンピック委員会(IOC)が打ち出した新方針に沿うものだと説明しているのである。
 確かに、IOCは先に採択した「アジェンダ2020」の中において、都市に身の丈に合った五輪開催を促して大会後に撤去可能な仮設の施設を多用するなど「持続可能性」を追求するよう促しているのは事実であり、「無用の長物」はもちろん願い下げは当然である。
 しかし、計画の「行き過ぎた変更」は五輪運動に参加する多くの選手・関係者を動揺・失望させるのではないかと思われてならない。
 東京は招致段階では「選手第一」を強調して選手村から時間をかけずに移動できる競技施設を整備すると約束したのは記憶に新しい。半径8㌔以内に施設の85%を集めるというのが公約の柱だったはずである。
 28の国際競技連盟にそれぞれの会場整備計画を説明して「一つ一つ承認を得た正式な計画」は現時点ではまだ生きているはずである。
 実際、東京都が計画見直しを発表した競技の国際連盟は「反対・反発」の声を上げているのである。臨海部から調布市への移転計画が発表されたバドミントンは、選手の移動での「負担増」に加えてメディアの報道が「質量ともに低下」すると懸念しているのである。トライアスロンの会長は「東京の中心から離れることになれば、われわれには大きなダメージだ」と話している。
 選手は競技以外に「練習し・栄養のバランスの良い食事をとり・十分に休養」しなければならないのは言うまでもないが、会場への往復の時間が長くなれば、そうした活動に影響が出て、パォーマンスの低下を招かないとも限らない。
 先のIOC総会において『一つの選手村にみんなが宿泊し、一つの都市で競技するからこそ、五輪はユニークな存在であり続けた』と分散開催を警戒する意見が表明されたのである。核協議が離れ離れの都市で実施されるならば、それは「複数の世界選手権の同時開催」にすぎないとの厳しい声も聞かれた。
 「競技の選手は、開会式に出ることなく1次リーグ敗退後に五輪選手村に宿泊することもなく帰国しなければならない」そんなことがあってよいのであろうか。
 東京が開催計画に磨きをかけるのは結構であるけれども、変更案を発表する前に少なくとも「その競技の選手の声・その国際連盟の意向」に耳を傾けてからにするのが誠実な対応というものではないだろうか。
 『参加選手が喜んで、なお大会後には市民による多様で長期的な活用が可能な施設をつくる』この難しい課題に徹底的に向き合ってほしいと切に願う。




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