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安倍政権の今後について [政治]

  年末年始の休養を終えたばかりの安倍晋三首相が、伊勢神宮参拝に続いて「年頭にあたっての記者会見」を行った。安倍首相は「年頭会見」で政権運営についてはこれまで通りの「経済最優先」で臨むとあらためて強調したのである。
 しかし、自民党の谷垣禎一幹事長は元旦付の「年頭所感」では今年は戦後70年を迎えるとして経済再生だけでなく「憲法改正実現に向けても国民的議論を深めることが必要だ」と強調している。憲法改正という世論を二分する問題については、内閣と自民党の首脳間で役割分担しているようにも垣間見える。経済再生に加えて安倍首相が真正面から取り組むとしている「東日本大震災からの復興」・「社会保障制度改革」・「地方創生」などはいずれも『戦後の大改革』である。それらの「大改革」と「憲法改正」という【二兎】を追う「余裕」とそして実現する「体力」が今の日本にあるとは思えないというのは言い過ぎではないであろう。
  昨年の年頭所感では憲法改正に関して「『国のかたち』を表す憲法についても、制定から68年になろうとする今、時代の変化を捉えた改正に向けて、国民的な議論をさらに深めていくべきだ」と述べていた安倍首相である。しかし、今年の年頭所感では憲法改正には一切触れず年頭会見でも進め方を尋ねた記者の質問に対して「自民民主党として政権公約の中に掲げ、考えを明確に示している。公約の中で約束していたことは、しっかりと実行していかなければならない」と形式的に述べるにとどめて「憲法法改正」という言葉さえ使わなかったのである。
 これと好対照なのが自民党の谷垣幹事長の年頭所感である。石破茂前幹事長時代の昨年、一昨年の年当所感では憲法問題に直接、触れていなかったにも拘わらず今年は「戦後70年にあたり引き続き平和外交を展開し、世界の平和と安定に貢献するとともに国民の生命と国益を守り抜くための切れ目のない安全保障法制の整備と憲法改正実現に向けた議論を、国民の皆さまの理解を得ながら進める」と述べたのである。 
 憲法改正を「悲願」とする安倍首相でさえ中長期的な課題として扱ってきたが、谷垣氏は「今年」と区切った上で5月ごろに想定される集団的自衛権行使容認を容認した閣議決定に基づく安全保障関連法案の策定と並んで列挙しており、自民党として当面の課題と位置付けた恰好なのである。憲法改正をめぐっては自民党を預かる谷垣氏と役割分担した格好となった安倍首相ではあるが、今年8月15日の終戦記念日に合わせて発表する予定の首相談話については前のめりな姿勢を見せているのである。
  特にアジア諸国での「植民地支配と侵略」を認め、「痛切な反省と心からのおわび」を表明した戦後50年の村山富市首相談話に関しては年頭会見で「引き継いでいく」としたが【全体として】という条件を付けており、細部の表明については削除・変更することに含みを持たせたのである。内外の課題で【二兎】を追う前に安倍首相は今一度、厳しい現実を直視すべきなのではないだろうかと思う。






タグ:安倍政権
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