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民主党新代表 [政治]

 民主党の新代表が決選投票の末に岡田克也氏に決まって、2012年末の政権転落以降、長期低迷状態から脱しきれない党の「再建・再生」は再登板の岡田氏に委ねられることになったのである。
 民主党の最大の病巣ははっきりしていると言えるだろう。与党になっても、野党であっても、党内が「一番岩になれない」点である。「寄り合い所帯」と揶揄されるように、有権者にもバラバラの党に映っていて、「党勢が回復しない」・「選挙の候補者を発掘できない」のも当然だといえるだろう。
 再生への「第一歩」は今回の代表選において3人の候補者が異口同音に訴えたように民主党の「文化」を根本的に変えるところから始まると言えるだろう。プロセスでは大激論を繰り広げたとしても、決まれば従うという当たり前の「ガバナンス」つまり「党の一体感」を構築できなければ政権奪還の道は遠いと言える。
 代表選の「しこり」を残してしまうならば、これまでの民主党と同じである。岡田新代表は今回の代表選に立候補した細野豪志氏・長妻昭氏と、その支持グループの声にも「謙虚に耳を傾ける」・「両氏は新代表の党運営に協力していく」それを実践することを肝に銘じてほしいと願う。
 代表選においては、維新の党などとの野党再選に積極的な姿勢を示してきた細野氏が立候補して「再編」か「自主再建」かが争点になるとみられていたけれども、細野氏が持論を封印したことによって路線問題の論議は盛り上がらなかったのである。しかし党内には依然として「再編論」がくすぶっていると見てよいであろう。
 まず必要なことは、民主党が「自らの足元」をしっかりと見つめて固め直すことである。党に未来がないと離合集散していても有権者には「選挙目当て」と見透かされるだけである。自身の改革なくしては、再編にすがって生き残るのは幻想と言っても過言ではないであろう。
 昨年末の衆院選が52%と戦後最低の投票率に終わった責任は、民主党にもあると言ってよい。政権選択という貴重な機会を与えられながらも、政権を担いうる候補者を擁立できなかったことである。アベノミクスを前面に「この道しかない」と訴えた安倍晋三首相に対し、批判はしても明確な「別の道」を提示できなかったのである。この二つの〝怠慢〟が原因の一つだと、民主党も認識しているはずである。
 ならばやるべきことは明らかであろう。岡田氏は代表選の政見で「温かみのある公正な社会」の実現を掲げて、経済・世代・地域・企業間の格差を小さくし、分厚い中間層を作る、などと訴えた。これらを具体的に肉付けしていけば、アベノミクスと明確な対立軸になるはずである。
 日本の政治は、自民党1強、安倍1強体制がより強まったと言える。「安倍政治」を監視し「熟議の国会」を取り戻すためには、強い「野党の存在」が欠かせないのは言うまでない。民主党は「野党の軸」という自覚を持って、政策を磨き、地方議員まで「一丸」となり、地べたを這うように訴えていかなければいけないと考えるのである。




安倍政権の今後について [政治]

  年末年始の休養を終えたばかりの安倍晋三首相が、伊勢神宮参拝に続いて「年頭にあたっての記者会見」を行った。安倍首相は「年頭会見」で政権運営についてはこれまで通りの「経済最優先」で臨むとあらためて強調したのである。
 しかし、自民党の谷垣禎一幹事長は元旦付の「年頭所感」では今年は戦後70年を迎えるとして経済再生だけでなく「憲法改正実現に向けても国民的議論を深めることが必要だ」と強調している。憲法改正という世論を二分する問題については、内閣と自民党の首脳間で役割分担しているようにも垣間見える。経済再生に加えて安倍首相が真正面から取り組むとしている「東日本大震災からの復興」・「社会保障制度改革」・「地方創生」などはいずれも『戦後の大改革』である。それらの「大改革」と「憲法改正」という【二兎】を追う「余裕」とそして実現する「体力」が今の日本にあるとは思えないというのは言い過ぎではないであろう。
  昨年の年頭所感では憲法改正に関して「『国のかたち』を表す憲法についても、制定から68年になろうとする今、時代の変化を捉えた改正に向けて、国民的な議論をさらに深めていくべきだ」と述べていた安倍首相である。しかし、今年の年頭所感では憲法改正には一切触れず年頭会見でも進め方を尋ねた記者の質問に対して「自民民主党として政権公約の中に掲げ、考えを明確に示している。公約の中で約束していたことは、しっかりと実行していかなければならない」と形式的に述べるにとどめて「憲法法改正」という言葉さえ使わなかったのである。
 これと好対照なのが自民党の谷垣幹事長の年頭所感である。石破茂前幹事長時代の昨年、一昨年の年当所感では憲法問題に直接、触れていなかったにも拘わらず今年は「戦後70年にあたり引き続き平和外交を展開し、世界の平和と安定に貢献するとともに国民の生命と国益を守り抜くための切れ目のない安全保障法制の整備と憲法改正実現に向けた議論を、国民の皆さまの理解を得ながら進める」と述べたのである。 
 憲法改正を「悲願」とする安倍首相でさえ中長期的な課題として扱ってきたが、谷垣氏は「今年」と区切った上で5月ごろに想定される集団的自衛権行使容認を容認した閣議決定に基づく安全保障関連法案の策定と並んで列挙しており、自民党として当面の課題と位置付けた恰好なのである。憲法改正をめぐっては自民党を預かる谷垣氏と役割分担した格好となった安倍首相ではあるが、今年8月15日の終戦記念日に合わせて発表する予定の首相談話については前のめりな姿勢を見せているのである。
  特にアジア諸国での「植民地支配と侵略」を認め、「痛切な反省と心からのおわび」を表明した戦後50年の村山富市首相談話に関しては年頭会見で「引き継いでいく」としたが【全体として】という条件を付けており、細部の表明については削除・変更することに含みを持たせたのである。内外の課題で【二兎】を追う前に安倍首相は今一度、厳しい現実を直視すべきなのではないだろうかと思う。






タグ:安倍政権

2015年『政治展望』 [政治]

 2015年は日本の政治にとって珍しく腰を落ち着けて重要課題に向き合うことができる年であると言える。衆院選は昨年末に終えたばかりなので参院選は来年夏と国政選挙がないからである。
 4月に統一地方選があり、秋には自民党総裁選があるけれども、統一地方選の結果が国政に決定的な影響を与えることはまずないと言ってだろうし、一昨年の参院選に続く衆院選での自民党大勝という実績を踏まえて考えてみれば安倍晋三首相の自民党総裁再選は確実視されているだろう。首相は「内外に山積する課題に取り組む一年」とすべきだろうといえる。
 他方、野党側では第1党の民主党の新代表が今月早くも決まる。新代表の下で今後は「多弱」状態をどう克服していくのかが注目されていると言える。党を立て直すとともに野党の連携を構築して、一刻も早く、首相の「1強」の応援団役から脱却しなければならないのは言うまでもないであろう。
 首相が最優先で取り組まなければならないのは、自らも「使命」と位置付ける『経済再生』であろう。首相は昨年11月、今月10月に予定されていた10%への消費税再増税を再来年4月まで延期してその是非を問う形で衆院を解散し大勝を収めたのは記憶に新しい。
 財政健全化を図るために、首相は関連法案から「景気条項」を削除して再来年4月には必ず消費税率を引き上げようとしている。この公約を果たすには、再増税が可能な経済状況にしておかなければならないのは言うまでもない。
 『消費税再増税を必ず行う』と宣言して衆院選を戦って大勝を収めた経緯からすれば、再増税ができなければ論理的には退陣または再度の衆院解散・総選挙で国民に信を問うしかないであろう。首相にとっては正念場の一年となるのは目に見えている。 
 一方、近隣外交でも首相の真価が問われることになりそうである。沖縄県・尖閣諸島をめぐる対立・首相の靖国神社参拝で関係が冷却化していた「中国」とは、昨年習近平国家主席との首脳会談にこぎ着けたのは記憶に新しい。
 しかし、その後、中国の公船が領海内に侵入し、さらには中国軍が東シナ海の沖縄県・尖閣諸島から約300㌔北西の列島で軍事拠点の整備に着手するなど、再び緊張が高まっているという現状がある。この緊張を鎮めるためにも、首脳会談の前提となった両国政府の合意に基づいて『関係改善を本格的』なものにする必要があるのは言うまでもない。
 また、従軍慰安婦問題などをめぐって対立関係に陥った韓国とは、朴大統領との2国間の首脳会談が依然として実現できていないのが現状である。これは異常事態と言っても過言ではないかもしれない。一刻も早い関係修復を急ぐべきであろう。
 中韓両国との関係をめぐっては、統一地方選の後に予定される『集団的自衛権の行使容認を踏まえた関連法案の整備』と8月に予定している『戦後70年の新たな首相談話の内容』が行方を左右することになると言っていいだろう。




タグ:政治展望

投票価値の平等 [政治]

  最大2.13倍の「1票の格差」となった昨年12月の衆院選は憲法違反だとして弁護士グループが295選挙区全てについて選挙無効を求め、高裁・高裁支部の一斉提訴したのは記憶に新しい。最大格差が4.77倍だった一昨年の参院選について投票価値の不平等を指摘して「違憲状態」と判断し改めて抜本的見直しを求めた最高裁大法廷判決から間もないことは言うまでもないかもしれない。
 国政選挙のたびに同じことが繰り返されている。しかし、いつも国会は「違憲」にまでは踏み込まない司法の判断に対してまるでお墨付きでも得たかのように胸をなで下ろし、投票価値の格差是正は衆参ともに遅々として進んでいない。
 最大格差2.43倍の2012年衆院選について最高裁は「違憲状態」とした。小選挙区定数の「0増5減」によっていったん格差は2倍未満に抑えられたが今回の選挙では再び拡大した。弁護士グループは「人口比例ではない区割りの選挙は憲法違反。0増5減では解決になっていない」と指摘し「憲法違反の選挙で国民の信を問うことはできない」としているが、それは納得できる主張である。
 衆院議長の諮問機関である有識者調査会は昨年9月から衆院の格差是正策の検討を始めたけれども衆院解散で中断している現状である。早急に再開し、議論を加速されてほしいと切に願う。
 平等な選挙権あってこその国民衆院選の1票の格差をめぐっては、最大2.30倍の2009年8月選挙ついて11年3月の最高裁大法廷判決が小選挙区比例代表並立制導入以降としては初めて「違憲状態」と判断した。47都道府県にあらかじめ小選挙区の1議席を割り振る1人別枠方式を「格差を生む主因」とみなしその廃止と区割り規定の是正を求めた訳である。
 是正策先送りが繰り返された末に2012年11月ようやく0増5減の選挙制度改革法が成立した。だが翌月の前回選挙には適用されず、2.43倍まで拡大した格差をめぐり一昨年11月、最高裁大法廷は再び「違憲状態」との判断を示した。0増5減を「一定の前進」と評価して違憲にまで踏み込まず「後退判決」との批判も出たのである。
 この間も話し合いは続けられたが、自民・公明両党は比例代表の定数30削減などを提案した。自民に小選挙区の当選者が多いことから、自民は小選挙区の定数削減には反対している。これに対し、民主党など野党各党は小選挙区定数の「5増30減」などの改革案で一致した。このままでは、らちが明かないことから有識者調査会に検討が委ねられた。与野党は一部を除いて、調査会の提言を「尊重する」ことで合意している現状である。
 ただ「提言をそのまま法案化したのでは、議会の機能を問われる」との声もあるようである。提言内容の修正となれば、与野党の対立が再燃する恐れもある。国会議員だけで結論が出ないから調査会に頼ったのであり「提言を最大限尊重」してほしいと願う。




タグ:1票の格差

安倍政権に対して [政治]

 昨年末に第3次安倍内閣が発足した。政治資金問題をめぐる問題を抱えた江渡聡徳前防衛相兼安全保障法制担当相が交代したほかは改造内閣と同じ顔触れである。安全優先でスタートした安倍政権だがいくつか意見があるのでここで示したいと思う。
 まず取り上げたいのは「政治とカネ」の問題である。衆院選の大勝を受けて、首相はアベノミクスをはじめとする諸政策を推進する考えは明らかである。それには閣僚や内閣に対する「有権者の信頼」が大前提である訳だが、閣僚だけでなく与党内には政治資金問題で疑惑を揺るぎないものとするためには「疑惑にきちんと答え」ルール違反があったのであれば誰もが納得できる形で「責任を明確」にするべきである。
 衆院選で首相が掲げた公約の中で特に関心が高いのは地方創生であるだろう。政府は昨年12月27日地方創生の道筋をまとめた「長期ビジョン」と、2020年までに実施する人口減少対策などの工程を定めた「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を決めたばかりである。
 人口減少においては東京一極集中を是正するために20年までの5年間で地方に30万人分の若者の雇用を創出するといった数値目標を設定した。具体的には「地域産業の競争力強化」や「地方への移住を後押しする組織とシステムの整備」「企業の地方拠点整備を促す施策を掲げた。地方版総合戦略を策定した自治体に配る新たな交付金は16年度の本格的な創設を検討し、自主的な事業設計と客観的な指標設定を求めるとした。戦略を絵に描いた餅にすることなく、着実に実行してほしいと切に願う。
 人口流出に直面し「将来の消滅危機を危惧する市町村」から地方創生に期待を寄せる声が相次いでいるのは事実である。小規模自治体に国の職員のほか、大学や民間シンクタンクの研究員を幹部職員として派遣し、政府が全自治体に求めている地方版総合戦略の作成などを支援する取り組みに応募した町がある。町長は「省庁職員には町の総合戦略を進める上で調整の役割を期待している」と話している。
 交付金についてある町長は「自由度の高い交付金の必要性」を指摘する。その上で「地域ごとに考えや問題が違う。自治体もしっかりとした計画を立て、事情に合わせた対策が必要」と述べている。地方の声に丁寧に耳を傾け政府と地方とが一体となって推進する態勢づくりが求められている訳である。
 衆院選で有権者は政権の全てを信任したわけではないのは明らかだ。自民・公明両党は3分の2以上の議席を維持したが、自民は公示前より議席を減らしたのは誰もが知るところである。小選挙区の投票率は52%台に落ち込み、自民は5割足らずの得票率で7割以上の議席を得た。比例でも有権者の2割足らずの票で4割近い議席を獲得。野党の不振などで多数を得たにすぎないのが現状である。「何を実行しどう成果を挙げるのかに厳しい視線が注がれている」ことを肝に銘じ政権運営に当たってほしいと願う。




タグ:安倍政権

第3次安倍内閣 [政治]

 第3次安倍内閣が12月24日に発足した。安倍首相は、政治資金をめぐる問題を抱えて再任を固辞した江渡前防衛相兼安全保障法制担当相以外の閣僚を続投との結論を出した。景気を支えるための経済対策や2014年度補正予算案さらには15年度予算案づくりに当たらなければならない中で現体制の維持をしたのは当然であるといえる。
 しかし、続投メンバーの中には江渡氏同様に政治資金をめぐる問題が指摘されている閣僚がいる。安倍首相は前回の選挙選での大勝を踏まえてアベノミクスをはじめさまざまな政策を推し進める構えでいる。しかし、それは閣僚・内閣に対する国民の信頼が大前提であることはいうまでもない。政治資金問題を抱える閣僚と任命した首相には、まず国民の疑念を完全に拭い去るように説明をする責任がある。
 その上で安倍内閣が最優先すべき課題は、なんといっても経済の再生とさまざまな格差の是正である。安倍首相自身「アベノミクス解散」と名付けた衆院選を「経済政策を前進させるか止めてしまうのかを問う選挙」と位置づけていた。
 衆院解散後の記者会見でも消費税再増税の17年4月までの延期は「デフレ脱却を確かにするため」と説明、経済再生がまだまだであることを自ら認めていると言える。景気回復の陰で拡大している富裕層と低所得層の「所得格差」も放置しておくことにはいかないはずだ。
 また今年4月の消費税増税、さらに10%への延期した再増税と表裏一体の関係にある医療・介護・年金など社会保障制度の改革は始まったばかりである。制度の行き詰りの要因は少子高齢化であるが、少子化対策が即効性をもって存在しない理由は日本以外の国々の取り組みを見ても明らかである。
 社会保障を維持可能な制度にするには、負担増・給付減に頼らざるを得ない部分もある。社会保障にメリットを相対的に享受しにくい若年層で、制度に対する不満や将来に対する不安が高まっていることには注目したい。世代間による「格差」を「対立」に発展させないようにしなければならないことは当然である。「地方創生」についても同様のことが言えそうだ。都市部と自治体消滅の危機にさえさらされている地方の格差も一刻の猶予もない状態である。
  また、首相は衆院選での自民党の大勝が明確になったらアベノミクスだけではなく集団的自衛権の行使容認を受けた関連法案の整頓、更に憲法改正にも意欲を出し始めた。自民公明両党が引き続き衆院で3分の2を確保したことを踏まえての発言と推測される。しかし、大きな政治的な力を必要とする憲法改正に取り組む余裕が安倍政権や今の日本社会にないのは明らかであるだろう。
 さらには中国・韓国との関係改善、沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題など直ぐに取り組まなければならない課題も多いのが実情だ。経済再生、さまざまな格差の是正によることで国民生活を安定・向上させることが自らの課された使命であることを今一度心に手を当てて考える必要があるように思えてならない。




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