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アラブの春から4年 [国外]

 市民による非暴力デモがチュニジアの独裁政権を倒して中東の民主化運動『アラブの春」が始まってから4年が経過している。改革への期待はアラブ全域に広がったけれども「エジプト」では軍主導政権が復活して「シリア」では出口の見えない内戦が続いているなど、混乱収束の見通し立っいない。当時の理念に立ち返って,軍部でも宗教勢力でもない「穏健な世俗勢力」が主導する国家建設を期待したいものである。
 安倍晋三首相は「エジプト・ヨルダン・イスラエル・パレスチナ」の中東4カ国・地域を歴訪した。過激派「イスラム国」への対処を始めとして経済交流の活性化、停滞する中東和平の側面支援などの課題に取り組み、地域安定に向けて貢献できるような首脳外交を深めてほしいと願っていた。
 2014年は中東にとって厳しい年だったと言える。英紙によると、自爆テロ、銃撃、空爆などで10万人以上が殺害されて「その3分の1」は民間人だったのである。1年の犠牲者の数として歴史的にも最悪水準だった。
 パリの週刊紙本社銃撃事件においては、アラビア半島南端のイエメンに拠点を置く国際テロ組織アルカイダ系武装組織「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」が犯行声明を発表した。
 イエメンでは、長年独裁を敷いた大統領が退陣した後に武装勢力の活動で治安が悪化して「テロの温床」となった経緯がある。パリの銃撃事件と同じ今月7日には、警察学校を狙った自爆テロがあって30人が死亡した。先月も25人以上が死亡する自爆テロが2度も発生するなど「アラブの春の後遺症」が癒えないという現状である。
 4年前の「民主化運動」は、エジプトのムバラク元大統領を退陣に追い込んだ瞬間に最高潮に達したのであるが、その後、歴史の歯車は逆転してムスリム同胞団の支持で当選したモルシ前大統領を軍が打倒した。同胞団をテロ組織に指定した上で武力で弾圧したのである。
 昨年夏には国防相だったシシ現大統領が就任した。年末にはデモ隊への発砲を黙認したとして殺人罪で起訴されたムバラク氏に事実上の無罪判決が出る一方で、警察殺害などに関与したとして、同胞団支持者ら188人に死刑が宣告されたのは記憶に新しい。ムバラク旧政権以上に、軍主導の強権体制が復活したと言える。
 反政府蜂起でガダフィ大佐が殺害されたリビアでも混乱が続く一方で、シリアではイスラム国の台頭もあって内戦終結の糸口さえ見えない現状がある。内戦の死者は昨年だけで7万6千人と推定されている。ヨルダンなど国外に逃れた難民は約330万人に達して『過去20年間で最悪」の人道危機と化したのである。
 パリでの銃撃事件直後の「中東歴訪」は安倍首相の地球儀俯瞰外交の中でも、極めて大きな意味を持つといえるだろう。歴訪先では日本が掲げてきた「人間の安全保障」に基づいて、地道な平和構築支援が求められているのである。経済協力を強調するだけではなくて、多様な主義主張に対して寛容であることの大切さを力説することが重要だと言える。





タグ:アラブの春
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